「ちいさな、あかり」というドキュメンタリー映画を旧仲倉医院で野外上映していたので観に行ってきました。
旧仲倉医院ではアーティスト・イン・レジデンスを行っているそうです。
その話は後で詳しく書くとして・・・今年は「ちいさな、あかり」の監督・大野さんがこちらに住んで制作されるそうです。
その第一弾として、この上映会があったようです。
観た後、監督とお話をしよう、という会が持たれたのですが、その時、地元の自治会長とかやってそうなジイサンが「こんなもん、その辺の奥に行けばフツーだぁ!」と言っておられて、大変素直な感想だな、と思いました。
「ちいさな、あかり」という映画は静岡県の限界集落の日常を映したもので、田舎の素朴なバアちゃんの言動にみな、ほっこりしたり、くすくす笑ったりして観る感じの映画でした。
ですが、私もみんなが笑っている場面で笑えなくて、その正直ジイサンと同じ感想を持って観ていました。
だけど、それを言ったら作り手に失礼かな、と思い、誰もその率直な感想を言わなかったんだと思います。
大野監督は若いのにしっかりした方で「貴重なご意見ありがとうございます」と述べた上で、自分は外から入って映画を撮るにあたって、自分の考えをなるべく入れないようにしようと思った、と言われていました。
要するに、監督がその土地に愛を感じても、「こんな田舎なんて」と否定的な目を持っても、それを作品にねじ込まないようにしよう、ということだと思います。
だから、あるがままの姿が撮影された記録としての側面も持った映画になっているのだと感じました。
ただ、ほんとに田舎でこの映画を観ると、周りの人がくすくす笑ってるのとかにもの凄く違和感を覚えました。
「あんたら、バアちゃんらの生活、バカにしてんのか?」と。
2、3年、実家に帰ってない状態でユーロスペースで観たら、私も笑ってる側になっていたかもしれません。
東京出身で田舎はどこにもないという人が観ると新鮮なのかな・・・。
私は田舎でも都会でも生きていくことは大変だと知っているし、それぞれいい部分と悪い部分も中に入ってどっぷりと見たので、こんな所が日本中にいっぱいあるんだろうな、と思って観ていました。
現在、鳥取藝住祭というのをやっており、アーティストを迎えてその土地で半年ぐらい暮らしてもらって作品を作ってもらおう、というアーティスト・イン・レジデンスの取り組みを行っています。
私は去年ぐらいに知って、その作品を観に行ったり、報告会を聴きに行ったりしたのですが、まだ始まったばかりで、これからだ、という印象を抱きました。
こんな小娘に偉そうなことを言われたくないでしょうけど・・・。
私の印象としては、場所も点在していて、やっていることもバラバラなので、誰かまとめたらどうかね、という感じでした。
あと、こういうことをやると必ず出てくる意見として「地元のアーティストは使わんのかい」という自己主張の強いオッサン(いや、オッサンに限らないのですが)の・・・要するに「オレを売り出せ」的な話です。
そういう話もチラホラ聞いたりもしました。
うーん・・・、それは地元アーティストが大したことないっていう理由と、基本的に鳥取県民は鳥取県民をバカにしているから地元の人なんか使いたくないんだと思うんですよね。
色んなコネを使ってゴリ押しして「オレって凄いんだぜ!」と田舎でいい気になっている人もいるので(そういう人はアーティストに限らずどこの業界にもいるんですけど)、そういうのに県民が辟易してしまっている、だから、外から呼ぶ。
外から呼んだ人はこの土地に愛着もなければ、単なる旅人みたいなものだから、成果を挙げようが挙げまいが、期間が過ぎたら、さっさとその土地を出る・・・ということの繰り返しにならないのかな、と思いました。
じゃあ、お前ならどうする、と言われそうですが・・・私ならマンガ博とかに使った莫大なお金をこっちに使って、世界的に有名な現代美術の作家の作品を買って、永久的に展示する。
もしくは、その場で作らせてずっと展示する。
愛好家というのはそれが地の果てであろうと、探して観に来るものだから、そういう人に観光してもらう、とか・・・作品をレンタルするとか祭りで一時的に展示するとかじゃなくて、もう買ってしまえ、と思うんだけど(保存するのが大変いう問題が出てくるが)
まぁ、あときちんとしたアートディレクターを置いて指揮してもらうとかしないと中途半端なままではないのかな、と思うんだけど。
折角、やり始めたんだから内輪で楽しんでいるだけじゃなくて、県外からも観光に来てもらえるぐらいに盛り上がらないとつまんないよね、と思いました。
傍から見て。