浪人中のこと。

実家にカルトンを取りに行ったら、浪人中の絵が出てきた。

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この時はまだデザイン科にいて、浪人している途中で版画科に行こうと決めて、油絵科に移った。
その後、予備校も大手に変えて希望の大学に受かった。

実は、大学に入るのに2浪している。
高校2年の夏から東京の美大予備校に通い出して、その時通っていた中くらいの規模の予備校でいつも上段(上中下でランクづけされる)だったので、私立は現役で受かると思っていた。
何故、私立限定で言うのかというと「芸大には現役で受からない」と思ったから。
どうせ、2浪するなら最初から芸大を目指せば良かった。
東村アキコさんが画塾の先生に「なんで東京芸大じゃなくて、学芸大受けるんや。あそこは美大じゃないだろ」と言われ「(東京芸大には)受からないからです!」アキコのキャッチコピー「諦めからはじめよう」と漫画にかいていたけど、私もそういう志の低い高校生だった。
志が低いっていうか・・・芸大合格者の参考作品としてパンフレットに載っているようなデッサンと自分の作品を見比べてフツーに「ここには達していない」と感じていた。
普通大学の人から見たら「2浪もしてんの?」という感じだが、20年前は倍率が40倍で、5浪とか6浪とかする人もいた。
美大だと浪人してるのは珍しくないし、海外に留学したり(もしくは、放浪したり)するのも珍しくない。
あと、他の4年制の大学とか専門学校に行ってた人とかもいたので、同級生の年齢層が幅広かった。
紆余曲折あっても、それが作品に生かせればいいよね。いや、生かせなくても面白ければいいんじゃん?みたいな雰囲気だったし、自分もそうだった。
お金を稼げるようになるよりも、沢山の経験をすることが人生の醍醐味だと信じていた。

 
話がズレたけど・・・
結論としては、浪人はして良かったと思う。
親にして見たらたまったもんじゃないけどw
自分としても10代後半で、周りがみんな遊んでる中、毎日毎日朝から晩までコンクリートの壁が湿気てる予備校に閉じ込められて、講師にギャンギャン言われて、よくわからん石膏とか描いて、濡れ雑巾で頭を覆われているような鬱屈した日々だったけど・・・。
物をよく見て描くとか、考えて画面を作るとか、受かるように傾向と対策を練るとか、うまくいかなかったら何度もやり直すとか、そういうのって大事だねと。
技術と感の筋トレみたいなもんだから。
筋肉もないのに、サラサラサラッと描いて「オレ天才」なんて魔法はない。
そういう人は本人が気づいてないだけで、ジャイアンリサイタルになってるから。
最後の秘境 東京藝大」という本が今、売れてるらしいけど、単なる変人集団ではなくて、みんな一応基礎ができてるから、あそこにいるわけです。
で、卒業したら行方不明って書いてあったけど、ちゃんと就職してる人もいっぱいいますよ。