月と六ペンス

近くの図書館に金原瑞人さんが講演に来られたので、行ってきました。

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私の中の金原さんのイメージはヤングアダルト系の本を訳している方でしたが、その他にもすっごく沢山の本を翻訳されています。
何故、私にはそのイメージがあったのかというと、高校生の時にオリーブという雑誌を買っていて、そこに赤木かん子さんが海外のヤングアダルトの本を紹介していて、その繋がりで、そう思い込んでいたようです。
その時、紹介されたいくつかの本を読み、自分の目の前に広がる現実の青春に幻滅するという・・・(笑)
だから、今回の講演会で訳していて困ったことは?という質問に「あまり若い人の小説だと自分の中に文体がなくて困る。逆に、月と六ペンスのような古典だったら困らない」と言われていて、意外な感じがしました。
そういうのが得意な人だと思っていたから。
でも、そう言われてみれば、私だって60すぎて、どこかの国の男子高校生の書いた小説を訳せと言われても(私に翻訳する才能があったとしても)困るかもしれません。

「月と六ペンス」(サマセット・モーム)は最近、金原さんの訳に変更になったようで、以前の中野好夫さんの訳で学生の時に読んで、その後、大岡玲さんの訳で読んで、その時その時で感じることが違いました。
自分自身も変化しているし、時代も違っているし、翻訳する人も違うので、一つの小説がまるで生き物のようでした。
「月と六ペンス」はゴーギャンをモデルとしていて、月は理想を、六ペンスは現実を表していると言われています(月は芸術、六ペンスは世俗、とも言われている)
夢を追って、ゴーギャンは安定した地位(画家になる前は証券マンだった)と妻子を捨てたんですよ。
「やっちまったな!」と私なんかは思うんですが、ゴーギャンはそんなこと思わなかったでしょうね。

本の話を書いたついでに友だちの宣伝を・・・
以前、このブログにも登場した邯鄲堂という古本屋さんですが、移転されました。
古いラムネ屋さんをグランドラインという建築ユニット(?)の方がリノベーションされた建物のようです。
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中はこんな感じで、以前より広いです。

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邯鄲堂の新しい住所
鳥取市吉方町2丁目311
一台分の駐車場もあります。