「ブルーピリオド」を読んで、ああ、懐かしいなと思ったら、新美がモデルになっているらしかった。
自分が苦労したので(地方にいるとどうしても情報不足だからっていうのもあるし、良い指導者がいない)、美大を目指してる子の力になれないかな、と思って近所で調べたけど、どうも近くでは予備校がないようだった。
じゃあ、自分でデッサン教室でもやろうかと思って、借りれる場所を探したが、場所はあってもモチーフや道具は一から揃えないといけないので、なかなか難しいなと思っていたところに、講師をやりませんかという話が来た。
夏期講習を指導に行ったんだけど、現在の倍率を調べてみると、少子化で芸大19倍、ムサビ7倍、多摩美3倍まで下がっていた。
(あと、推薦入試がある!びっくり)
多摩美不人気はあの事件の余波じゃないのかと勘繰りたくなる。
あと、立地も悪い。
なんで、折角、東京の大学に行って、あんな山ん中でキャンパスライフを過ごさなきゃいけないんだ。
しかも、あの辺、元処刑場っていう噂があって、心霊スポットらしいし(笑)
今なら、現役でムサビに行くか、浪人して芸大に行くわ。
それで、学部の時に学芸員資格取って、院で教職取る(専修免許が取れるから)。
うちの親もちゃんと色んなこと教えてくれればいいのに。
私が受験した時、芸大40倍だったので(多摩美とムサビは20倍)、5浪とか6浪とかしている人もいて、現役芸大生がバイトに来てると、どっちが講師かわからないような人もいたが、私にはそこまで芸大に拘る意味がわからなかった。
諦めた友だちとかも今なら受かるんだろうなと思うので、人って努力と才能だけじゃなくて、時代とかタイミングとか運とか重要なんだなと思った。
私は団塊ジュニア世代だけど、団塊の世代はもっと大変だっただろうし(大学の数も少ないし、家庭の経済状態も影響するし)、学生運動とか戦争とか社会に振り回された人もいっぱいいるわけだから、絵が描けるだけでラッキーかもしれない。
社会人になったら、1日中制作できるなんてあり得ないので、たとえ受験対策の絵を描かされていたとしても、それは贅沢なことだし、そういう勉強ができるのは若い内しかできない。
受験の数ヶ月前は朝9時から夜9時まで予備校にいて、帰ってからも課題をやって、ご飯食べている時以外絵を描いていたけど、それでしんどいと思わなかったし、ただひたすら耐えれば受かると信じていた1浪目の時の方が辛かった(講師が合わなかった)。
誰でも自分に合った環境で、「今年で最後」というタイムリミットを作って、崖っぷちに立たされれたら、一気に集中できると思う。
イチローが引退会見の時に、若い人へのメッセージとして「野球じゃなくてもいいから、自分が夢中になれることを見つけてください」と言っていたけど、結局そこに尽きる。
自分の得意分野を見つけたり、できることを知ることがのちのち自分を助けることにもなるし、人の役に立つこともあるから、絵とかスポーツとか、それじゃ食っていけないと言われる世界でも、無駄だとは言えない。
そんなことしても無駄だよって言ってきたり、私の方がすごいってマウンティングしてくる人とか、露骨に邪魔する人はどんな世界にもいるんだと思うけど、ほんとうに良くないことをしていて反対されるならまだしも(なんか、犯罪スレスレとか)、意味なく自分を凹まそうとしてくる人の言うことは聞かなくてもいいと思う。
そういう人たちは頑張っているあなたに嫉妬して、足を引っ張ろうとしているだけだから。
そして、そういう人たちの感情に巻き込まれちゃいけないし、自分の人生を決めるのは自分しかいないし、自分以外誰も責任は取れない。
ずっと絵を描いていて、一番不愉快なのはやっかみで、二番目は利用されること、三番目は陰口、噂話。
私は「痛くも痒くもないので、どうぞご自由に」って顔して、ものすごい執念深いから(嫌なことを繰り返し考えてしまうから、脳の回路に轍ができるんだと思う)、そういう奴らのことは絶対許さないけど。
用事があって東京に行った時、友だちの個展に行ったら、結構人が入ってて、作品も沢山売れて予約も入ってた。
その人はイラストレーターで、割と大手の仕事を沢山やっている広告代理店に就職して、フリーになって、装丁とかポスターの絵を描いてて、最近彼氏と結婚した・・・ら、なんか知らないけど、突然大学時代の親友から絶縁状みたいなのが届いたらしい。
やっかみだよ、と内心思ったけど。
就職氷河期ド真ん中でも、ちゃんと就職してデザイナーとして仕事をやって、フリーになっても活躍できて、年下のイケメン(多分。写真でしか見たことないけど)と結婚するとか言うから、面白くなかっただけじゃないのか、と。
彼女は自分の努力で全部手に入れてるから、立派だなぁと私は思うけど。
気にせずに、これからも続けてくれるといいな。
夏休みは子どもをチームラボの展示に連れて行った。