夜、夫と「レオン」を観ていて、こういう関係が昔好きだったなと思い出した。
しかし、初めてレオンを観た高校生の時と記憶が大分違っていて、私は「少女と殺し屋の一時の交流」だと思っていたのに、マチルダが思いっきり胸の開いた服とかぺったんこの胸が強調された服を着ていて、尚且つ露骨に誘ってきたりして「あれ??これ、こんな話だったっけ?!」と夫に云ったら「そうだよ、こういうのがリュック・ベッソンの趣味なんでしょ」と云われた。どんなに慕っていても12才の時、そんなこと考えないと思うんだけど。でも、10代の私も殺し屋なのにチンピラ感がなくて、寡黙でストイックで優しいレオンが素敵に見えた。そして、最後のスティングの曲が二人の孤独な魂をより強調した。
私のダメ恋愛遍歴として、すごく年の離れた異性に惹かれる傾向があって、これがもしかしたら、原体験なのか?とも思った。基本的に異性が怖いので、同世代の乱暴な男子より優しくて賢い先生が好き、みたいな子どもの感覚なので、プラトニックがいいんだけど、年上でガツガツ来る人でそんな人はいない。ていうか、ガツガツ来る奴なんかダメだろ(今ならわかるが、当時はわからなかった)。私が今までつき合ってきた人って殆どオレ様なので、年上だろうが同世代だろうがつき合ってて安心感が得られない人が多かった。一番欲しいものが、いつも得られない。作家の鷺沢萠が結婚したことを「あの時は誰かに加護されたかった」と離婚した後に書いていたんだけど、ずっと私もそうだったんだと気づいた。
結婚してみて、私は恋愛がしたかったわけではなくて、帰ってくる場所が欲しかった=結婚したかったんだ、と。なんでかというと「普通になりたかった」というだけだった。
私は自分らしく生きると普通ではなくなってしまうようなので、歴代元カレや母親に「もっと女の子らしくして」とか「なんで女の子なのにそんなことも気づかないの」とか云われて、最終的には「頭おかしいんじゃねーの」と云われたりしていた。もっと遡ると子ども時代から、周りから浮いていたので「普通になりたい」と自分でも思っていた。結局、私を普通に矯正してくれて、守ってくれるのは自分の作った家族だった。自分が育った家族では得られないから、結局それを外に求めていただけだった。(自分の父親から安心感が得られなかったから)
Twitterでバズって書籍化した漫画で「史群アル仙のメンタルチップス」というADHDの女性の本を読んだ。私はTwitterやってないんだけど、こういう人が救われるんならSNSも悪くないと思った。(でも、基本的にSNSに上げた漫画を書籍化したやつって面白くないんだよね。素人だから)
その中で、史群さんもボス彦さんに「普通にしてろ」と云われるんだけど、その普通ができないからトラブルを起こしたりする。いっぱい失敗をし続けて、史群さんは精神科に通うようになるんだけど、誤診されて薬漬けにされてしまったり、いきおい余って首吊り自殺をしようとして意識を失った後に紐が切れて朝目覚めるというミラクルを起こしたりする。結局、この混乱の原因はADHDでした、ということなんだけど、それがわかったから安心という簡単な問題ではない。ADHDは多動・衝動・不注意が主な症状なんだけど、アレルギーやリウマチなどの免疫系の病気も関係性があると云われているし、離婚率、中退率、事故率も高く、体や人生そのものに影響する。ADHDというのは脳内のトランスポーターが働きすぎちゃってて、ドーパミン(やる気のもと)とノルアドレナリン(集中力、行動力、ストレス防御)が再吸収されまくっていて足りないので、わかりやすい問題児だけでなく、ボーッとしていたりする人もいる。
ADHDの女性は刺激がある異性に惹かれる傾向があるんだけど、ASDの女性も自分の意見がしっかりあって、自己主張が激しい男性に惹かれるらしい。
そして、それはかなりの確率でハズレである。
女性の場合、それは人生に大きく影響する。
私も、年上でストイックな雰囲気の男性が好きなのに、全然真逆の方向にいつも行ってて、振り返ってみても「あの時はどうかしてた」ぐらいの反省点しか出てこなくて(だから、どうしようもないっていう)同じ過ちを繰り返していた。
すごく年上の医者と結婚したさかもと未明(難病のさかもとさんを介護する関係)とかジョセフ・コーネルと内縁関係だった草間彌生(プラトニックな関係)とか、そういう感じが理想だったんだけど。日本でそれを20代でやるとパパ活になっちゃうな。米粒男と一緒にいてつまらなすぎて「どっかの社長の愛人でもやろうかな」と云ったら「それだったら、楽しくないでしょ」と云われ、こいつは自分といて私が楽しんでいると思っているのか、と内心震えた。とにかく、自信過剰で自分を大きく見せようとしているくせに普段猫かぶっているから、周りの人にはいい人だと思われてたけど、私は「お前とは人間の素質が違う」だとか云われて、人格を否定されまくっていた。ほんとうに勿体ない、自分が。あの無駄な時間を過ごした24才に戻りたい。そうすれば、別の選択をして、その後何年も苦しまなくて済むのに。あれは「悲しかった恋愛」の記憶じゃなくて、完全に「いじめのPTSD」だった。そして、私は普通の人より嫌な記憶がフラッシュバックしやすいタイプだと思う。今の私ができることは「同じことを人にしない」ってことぐらい。まぁ、しないよね、普通。典型的な自己愛系モラハラ男じゃない限り。
結局、私にあしながおじさん的な人は現れなかったけど、まともな感覚の夫がいるからまぁ、いっかと思ってる。