今日は東京で現代美術の作家として活動している村上郁さんのご紹介です。
彼女とは大学の同級生だったのですが、彼女の作品を観たら「同じ学部だったのに、なんでこんなに作品が違うの?」と思われるかと思います。
彼女は日本の大学の版画科を卒業した後、イギリスの大学の彫刻科に留学されたのです。
そりゃー、違うでしょう。
版画科は不思議な科で、予備校の色んな科にいた人が入ってきます。
何故なら、版画科自体がメジャーではなく(今現在の受験の傾向は知りません。あくまで、私が浪人していた頃の話です)、油絵科の人が滑り止めで受けるような感じでした。
ですから、私のようにデザイン科にいながら「版画科に行きたいんです!」と言うような者は予備校講師からしてみれば、何を考えているのかよくわからない者だったのです。
私は初めから銅版画がやりたくて、狙って大学に入ったのですが、かおるちゃんは多分、受けたら受かっちゃった人です(直接、訊いたことはありませんが)。
芸術家一家なので、1、2浪してたら芸大に行ったり、日本の大学を経由せず海外留学していたかもしれません。
面白いのは予備校の色んな科から入ってくるということだけでなく、偏差値もバラバラで、家庭環境も格差があり、卒業後はみんな好き勝手な道に行くという点にも見られます。
ですから、卒業後10年も経つと「版画を続けていたら仲間」どころか、「何でもいいから作家活動していて、何年かに1度、作品を観ることができて生存確認が取れたらそれでいい」という感じです(笑)
私が京都で個展を開催した時にはイギリスの大学で同じ科にいたけれど、現在は舞台をやっている女性と遊びに来てくれました。
そんなかおるちゃんの作品はこちら↑
電球の中に写真と水(以前は水だったか、今はジェルオイルかも)を入れている作品なのですが、私はかおるちゃんのこの電球シリーズが好きで「なんで、好きなのかな?」と考えたら、私はスノードームとかペーパーウエイトが好きなので、それに近いのかも、と思ったのです。
かおるちゃんの作品は旅行の記憶や匂いを掌サイズに封じ込めているような、そんな作品たちです。
以前、私がマトリョーシカが好きで作ったり集めたり話したりしていたら、突然マトリョーシカが流行ったので、スノードームやペーパーウエイトや村上郁もブレイクするかもしれません。
村上郁 個展
11月3日~11月23日
遊工房アートスペース